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【ウマ娘】SS 「彼女は恋をしていた。自分のチームを担当するトレーナーに。」

  • Posted by: 大蠍
  • 2021-05-18 Tue 06:00:00
  • ウマ娘
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彼女は恋をしていた。自分のチームを担当するトレーナーに。
恋はダービーとはよく歌ったものだ、と彼女は思う。狙うは彼の隣というゴール。誰にも譲りたくない大レース。
「まさか、ウチがなぁ……」
何がきっかけだったのかはよく覚えていない。気が付いたら彼の事を好きになっていて、ある日ふと気が付いたのだ。

ああ、ウチ。トレーナーのこと、好きなんや。

それが自分一人なら良かった。どんな悪道でも彼女は走り抜けるド根性があると自負していたから。
だけど、そのレースには最高にして最悪の競走相手であるオグリキャップがいて。
恋のダービーに同着はない。彼を巡って争ったり不調になったり、オグリキャップが大怪我をしたり……色々あったけど最後には仲直りしして。

ウチらの方法でケリを付けるで、と彼女はオグリキャップに提案をした。
レースで勝った方が彼に告白をすると。

そして、レースの結果は。

「ホラ! 起きぃ! いつまで寝とんねん!」
朝から雷を落としながら、タマモクロスは同居人達の眠る布団をひっくり返す。
そこにはオグリキャップ──と、彼女に肩口を齧られているトレーナーが眠っていた。
「ほらオグリ! さっさと朝メシ!」
「うぅ……トレーナーぁ……」
がじがじと彼の肌に歯を立てるオグリキャップを無理矢理引っ剥がす。このままだと旦那が朝メシになりかねない。この歳で未亡人はゴメンだ。
「ほら、アンタもさっさと顔洗って来ぃや」
トレーナーも叩き起こし、二人が洗面台へ向かったのを見送ると彼女は大きな溜息を吐く。

「……あそこで同着になるとか、思わへんやん普通……」

恋のダービーに同着はない。が、現実のレースに同着はある。
そして、恋のダービーの結果を、現実のレースに委ねた結果が、今の彼女達だ。

模擬レースで買った方が彼に告白をする。その条件で仕掛けた勝負が、まさかの同着。
どっちが勝った!?と鬼気迫る様子でトレーナーに判定してもらったらまさかの同着。
その結果を知って……彼女達は、顔を合わせて笑った。

「私達は、キミの事が好きだ」
「良かったやん。両手に花やで!……まぁ、その……うん! よろしゅう頼むわ!」

打ち合わせるまでもなく、二人で出た答えがコレだった……だが。

「え……いや、倫理的にちょっと……」

事もあろうに。
日和ったのだ、優柔不断な我らがトレーナーは。


トレーナーの答えを聞いて、彼女達は呆れるでも怒るでもなく。
二人して理性が吹っ飛び、気付いた時には一心同体を超えた三位一体となっていた。
しくしくと泣くトレーナーと肌が艶やかとなった自分とオグリの顔はアレから数ヶ月経った今でも記憶に残っている。

「……まぁ、どうとでも転がるもんやなぁ」

今では彼も状況を受け入れ──開き直り──二人を纏めて愛してくれている。

「……ま、今はそれより朝メシや」

彼女は愛している。
トレーナーと、チームメイトを。

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