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【ウマ娘】SS 「──君は自分が……どんな状況なのか…わかっているのか?」

  • Posted by: 大蠍
  • 2021-05-26 Wed 02:31:34
  • ウマ娘
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──君は自分が……どんな状況なのか…わかっているのか?
「……はい、わかってます」
誰よりも自分が
少し後ろめたい気持ちを感じながらもそう返す。
古い友人が伝を辿って治療を施して貰え、と紹介してくれた病院で、改めて現実を突きつけられていた。自分の決断の遅さも共に。
高名らしい医師の背後の画面には様々な写真と赤丸がつけられており、机には詳しくは見えないものの文字がびっしりと書き連ねられた紙の束が置かれていた。
おそらくどれも自分の身体についてのものなのだろう。
「……放置すれば君の余命は──」
「はい、あと……2ヶ月…程度ですよね?」
「…ああ。そこまで分かっていて……」
何故?、そう言いたげな目を向けられる。
何故だろうか。わからない……が
「……不安にさせたくないんです。」
彼女を。彼女が彼女自身を呪わないように、したくない。
「…もう少し早く手を打てれば……違った結論にはなったかもしれないが……」

「…いえ、こんな状況になってもまだ手を尽くしてくださって……ありがとうございます。」
「私も君の担当ウマ娘──アグネスタキオンのファンでね?……力になれるなら──」
「お願い、します。」
「……術後の投薬はかなり激しい副作用が予想されるが……頑張ってくれ。」
「……はい。」

病院から出て電話をかける
すぐに出てくれた。
『あ!モルモット君!なんだい今日は急に用事があると──』
「すまん、来週くらいからしばらく用事が入って顔が出せなくなりそうなんだ」
『ええっ!?そんなぁ……』
「代わりに埋め合わせと言ったらなんだけど明日か明後日でやりたい事とかあるか?トレーニングも休みの予定だしね?」
『うーん……なら一緒にピクニックに行こうじゃないか!うん、そうしよう!』
「ははっ…わかったよ。お弁当、用意しとく」
『私の好物をたくさん入れてくれよー』

「かしこまりました。じゃ、夜にでもメールで集合場所送るから──」
『……?もう夜だろう?……まあ、わかったよ。楽しみにしてるよ。』

電話を切って時間を見る、もう20時近くなっていた。
やけに明るく見える空にタイムリミットが近づいていた事を否が応でも自覚されられた。
でも、大丈夫。時間はまだ伸びるはずだから。
だから蝋燭が燃え尽きるまでに、伝えよう、この気持ちを。残そう、この想いを。
死ぬことぐらいはみんなやってきた事だ。
そう思っていた。
でも怖くなった。怖気づいた。
だから今になって時間を稼ごうとした。
どれくらい伸びるのかはわからないけど、せめて伸びた時間分くらいは彼女と、タキオンと、一緒に過ごしたい。
そう思いながら歩き出す。死出の旅とは考えずに、栄光の道だ、と思いながら。

──術後
「これで……どれくらい……」
「……君が、思う分だけ、と私は考えているよ。人の気持ちは時に予想を凌駕する物だからね。」
「……なら、まだ死ねそうにありませんね」
「そうなってくれるのを祈っているよ。……投薬治療、頑張ってくれ。」
「……はい!」


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