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【ウマ娘】アグネスタキオンSS 「昔、トレーナーくんが事故にあった。」

  • Posted by: 大蠍
  • 2021-05-26 Wed 06:00:08
  • ウマ娘
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昔、トレーナーくんが事故にあった。
最初は安定していたのに、数日経って逝ってしまった。
遺体は今でも私のもとにある。
せめて私のせいであれば私は私を恨めたのに。
彼がまだ安定していた頃は、
「まさか俺がタキオンに世話されるなんてな」
なんて言いながら彼と笑ったりしていた。
数日後、彼の容体は急変した。
事故の後遺症で急変した場合、残された時間は少ない。私は焦った。私は超えてはいけない一線を超えてしまったのかもしれない。
彼のクローンを作ること。
一線を超えて仕舞えば行動に移すまでは早かった。トレーナーくんの髪、血、皮膚片、爪、精液、全てを採取した。
彼がまだ事故に合う前、私は半分冗談のつもりで彼にクローンの話をしていた。その時彼は、残酷にも私にこう言い放った。
「気持ちは嬉しいが…それで出来るのは遺伝子情報が同じなだけの他人…なんだ…それは…たぶん俺じゃない。」
いや…それでタキオンが満足出来るならいいのかもな。
彼はそう続けた。

でも私はやめなかった。トレーナーくんを離したくなかった。彼の葬儀が終わり、遺体を回収して防腐処理を終えた頃に、私は実行した。

私は彼のクローンの代理母になった。

「起きて!起きてよタキオン!」
またあの頃のことを考えながら寝ていた。
「ははは、すまないねぇ」
「ご飯できたから食べよ」
「後からいくから先に行って待っていてくれるかい?」
「うん、わかったよタキオン」
”彼”は私の事を母だと思っている。でも、ママや母さんとは呼ばせずに、ただ、「タキオン」そう呼ばせている。
あれから十数年。彼は順調に生育している。私の身の回りの世話をしてくれるぐらいにはしっかりと。私が産んだと言っても私の血は入っていないのだから当たり前だ。あの時のトレーナーくんにどんどん似てきている。
でも、何かが違う。違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う

トレーナーくんに似た仕草を見せれば見せるほどあの言葉が脳裏に浮かぶ。

「あああ”あ”あ”ああ”あ”!」
思わず叫んでしまう。許せない。私をこんなにしたトレーナー君が。狂おしいほどに愛しい。また会いたい。2度と離さないためにクローンを作ったはずなのになぜか思いが止まらない。


タキオン、俺の母さんの部屋から叫び声が聞こえる。心配に思って部屋を覗くと、タキオンが床に膝をついている。俺は思わず部屋に入った。

誰かが部屋に入ってくる気配を感じる。あの時とそっくりな声、香り、トレーナーくん!?生きていたのか!?思わず押し倒してしまった。
今は春先。ウマ娘にとって、欲望が抑えられなくなる時期だ。
私とて例外ではない。押し倒してから気付く。トレーナーくんじゃない。”彼”だった。このまま事に及んでしまおうか。そんな感情が私の頭脳を支配する。一方で思い出も頭に浮かんでくる。初めて笑ってくれた時、初めて私の名前を呼んでくれた時、初めて歩いてくれた時、一緒に入学式に行った時、授業参観に行った時、一緒に勉強をした時。
でも…でも、でも!やはり”彼”は私の息子なんだ。
頭の中の感情がオーバーフローし、堰を切ったように涙が溢れ出てくる。
「ううっ…ひぐっ…うわぁぁぁぁぁぁぁ!トレーナーくん!あいたいよぉお"ぉ!うわぁぁぁぁぁぁ…」
私は彼の胸に突っ伏した。

部屋に入るやいなや、タキオンが俺を押し倒してきた。
タキオンの息がとても荒くて、妙な興奮を覚える。母親に興奮を覚えるなんて変だ。でも、今のタキオンの瞳は不思議な光り方をしていて、なんだか魅力的だった。タキオンはウマ娘だから、俺はとてもじゃないけど力じゃ勝てない。どう声をかけようか何故か冷静に考えていると、急に俺を抑えていた腕から力が抜けて、タキオンは俺の胸に突っ伏しながら大泣きしていた。
タキオンは子供みたいなところがたくさんある。でも、俺のことをここまで育ててくれた。でも、いまのタキオンは、間違いなく俺より子供だ。
タキオンが言っていた「トレーナーくん」には心当たりがある。昔、深夜にタキオンがPCで、ある動画を見ていたのをこっそり見かけてしまったから。その動画には、タキオンがトレーニングをしているところと、それを監督している男の人が写っていた。

その人の詳細については、なんとなく察してはいたものの、タキオン本人には聞けずにいた。でも、タキオンの現役時代の友人であるマンハッタンカフェさんとダイワスカーレットさんに聞いたことがある。
やはり、タキオンがまだ現役のウマ娘としてトレセン学園にいたころのトレーナーだと言う。俺は、タキオンの学園時代の話をもっと聞きたがった。二人は、途中までは話してくれたが、あるところで二人とも言葉を濁してしまった。なんとなくその人のことが頭から離れなかったが、最近、俺がその人に似てきたような気がする。タキオンは教えてくれないが、やっぱり、その「トレーナーくん」は俺の父親なんだろうか?。

散々泣いて、私は落ち着きを取り戻した。
「取り乱して…しまったね…」
「ううん…気にしないでタキオン」
そういう優しさも彼と同じだ。
トレーナーくん、私はいつまでも君のことを忘れられなさそうだ。


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