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【ウマ娘】アグネスタキオンSS 「暖かな日差し、頬を伝う爽やかな風と、食欲をそそる香りで目が覚めた。あまりに良い天気だったから、少し眠ってしまっていたようだ。」

  • Posted by: 大蠍
  • 2021-05-27 Thu 04:29:48
  • ウマ娘
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暖かな日差し、頬を伝う爽やかな風と、食欲をそそる香りで目が覚めた。あまりに良い天気だったから、少し眠ってしまっていたようだ。
今日は彼と一緒にピクニックに来ていて、広々とした原っぱには私達以外に誰も居らず、まるで貸し切り状態だ。
広げられたレジャーシートの上には彼の手作り弁当が並んでいる。綺麗な卵焼き、小さなハンバーグ、甘辛いミートボール、彩りが些か足りないが、私の大好物ばかりで思わず笑みがこぼれた。
あの水筒の中身は私のお気に入りの紅茶だろうか、今のうちにティータイムの話題を考えておこう。
しかし、お弁当も広げてあるというのに彼は一体どこにいるのだろう?周りを見渡してみると、遠くに彼の後ろ姿が見えた。
「おーい、そんなところで何をしているんだい?早くこないと君の分が無くなってしまうぞー?」
彼に声をかけ、手をぶんぶんと振ると、こちらを向いてくれた。私の隣にいることよりも優先度が高いことがあるというのかい?全く、なんでそんなところにいるんだ。なんで、なんで…
___なんでそんな悲しそうな顔をしているんだ?

瞬間、世界から色彩が消えた。日差しも、風も、お弁当の香りも、全てが消えてしまった。
あぁ、そうか。これは夢だったのか。毎日が幸せに満ちていた、あの頃の夢。
君は、君は死んでしまった。私が殺したんだ。私の実験のせいで、君の寿命は擦り減っていた。
そんな素振りを君は噫も出さず、そんな君に私はいつも言っていた。時間はいくらでもあると。ずっと一緒にいようと。
どうして黙っていた?救える可能性があったかもしれないのに。
どうして離れられなかった?嫌い合ってしまえばお互い楽になれたのに。
どうして指輪を遺した?見る度に君との思い出が蘇ってしまうのに。
どうして生きてほしいなんて…残酷な事が言えた?君と共に歩むことが生きる喜びだったのに。君のいない世界に生きる理由なんか存在しないのに!
感情が膨れ上がり、涙が堰を切ったように流れ出す。霞む視界の先で、消えてゆく君が見えた。
駄目だ。行かないでくれ。そんな悲しげな笑みは見たくない。離別の言葉なんて聞きたくない。君の遺してくれたものは、私一人では重たすぎるんだ。
まって。おねがい。おいてかないで。やだ。やだよ。ひとりにしないで

目覚まし時計のけたたましい音で目が覚める。枕が涙で濡れてしまっていた。泣く資格なんて私にはないというのに。
身支度を整え寮を出るとカフェ君とスカーレット君が待っていた。
曰く、「目を離すとどこかに消えてしまいそうだから」らしい。ははは、全く心配性だなぁ
あの日から、何度も、何度も、命を絶とうとした。出来なかった。出来るわけがなかった。
君の最期の願いが、あの微笑みが、私を死なせてはくれなかった。
だから、私は生きるよ。君との約束を守るために。君が愛した”アグネスタキオン”で在る為に。
そしていつか命が尽きたその時に、君に笑顔で迎えてもらうために。


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