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【ウマ娘】マチカネフクキタルSS 『シンイチ、僕達はウマ娘で繋がっている』

  • Posted by: 大蠍
  • 2021-05-31 Mon 08:08:32
  • ウマ娘
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『シンイチ、僕達はウマ娘で繋がっている』

親愛なるヴィエラ先生。
先生が手塩をかけて育てたウマ娘が出走する、パリロンシャ競バ場での《凱旋門賞》
今年こそ直接観に行きたかった。
――しかし俺は未だ、この日本にいる。

千鳥足。夜道をジグザグと一人で進む。進み、倒れた。
酔いで視界がくるくると回ってる。明らかに飲みすぎだった。
…あの水族館め。大人しそうな顔してザルなのかよ。
目蓋の裏、自分と同じ量の酒を平らげて平然としていた同期の顔が浮かぶ。
『総合』トレーナー科でトップの成績を収めている彼女は、来季から本格的にトレーナーとして担当を指導するらしい。

「…くそっ葵のやつ。何が『負け犬は嫌いですから』だ!ふざけやがってっ!!」

一時は俺と男女の中でもあった彼女。しかし今では思い出せるのは嘲笑と、あの冷たく見下ろす目だけで…

『今のあなたなんて、どこへ行ったっていっしょです!』

――くそっくそっくそっ!
頬を撫でる風も、もたれかかった柱の冷たさも、今の茹った頭を覚ますには到底足りない。
眼を閉じる…もう、限界だった。

「ヴィエラ先生…なぜ僕は日本にいなければいけないんでしょうか」

勿論答えなど帰ってくるはずもなく、呟きは夜の静寂へと溶けていく。
冷たい月明かりだけが、憐れむように俺を照らしていた。

ハッシラオキサマノオツゲニシタガッテキテミレバホントウニトレーナーサン!・・・ノ、コウホガッ!コノヒトガワタシノウンメイノヒトナノデスネシラオキサマ!
風――風の音がする。
 デモドウシテコンナトコロニ・・・ト、トニカクハコバナイト!
いや、違う。これは風を切っているんだ。
人には決して再現できない…ああ、これがきっと彼女達の感じている景色なのだ。

――Fortune-telling! telling! tell me! tell me!

…今度は歌?なんだ?この曲。音程も何もかもすげーデタラメ。

――教え給え幸せとは?一体どういうものなのでしょう?

……いや違う!デタラメだけど間違ってない…すごいうまい!なんだこれ……!?
急速に意識が覚醒する。今は粗削りだがこれほどの歌声、あのトレセン学園でもいまだ聞いたこともない。一体だれが…

だるま、おみくじ、水晶etc。
山のように積まれた怪しげな開運グッズと、それら以外は生活に必要最低限しか存在しない異様な空間。
その中心で、見知らぬ少女はこちらに微笑んだ。
カプリチオーソカンタービレ。
――これがオレとマチカネフクキタルの出会いだった。

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